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第5回 接客の類型から考える販売員の能力開発(5)

執筆:岩瀬 敦智(いわせ あつとも) 公開:



  百貨店の販売員が実践する接客には、大きく分けて(1)マーケティング型接客、(2)コミュニケーション型接客、(3)セリング型接客、(4)レスポンス型接客があります。ここまで、マーケティング型接客、コミュニケーション型接客の概要について説明しました。今回は、4つのうち最後となる「レスポンス型接客」の概要について取り上げます。

 

1.迅速さ、丁寧さが重視される「レスポンス型接客」

 

  「レスポンス型接客」は、お客様からのアクションに対して、迅速に丁寧に対応することを主眼とする接客です。原則、積極的に販売員の方から、アプローチをすることはありません。

 

  主に、レジの回転スピードが求められるコンビニエンスストアやスーパーマーケット、

また、専門店のセール会場などで実施されます。

 

2.「レスポンス型接客」に求められるオペレーション構築力

 

  レスポンス型接客では、お客様をお待たせしないことに重点が置かれます。いかに、迅速に多数のお客様を応対できるかがポイントです。しっかりとしたオペレーションを構築することで、素早い対応が可能になります。

 

  レジのオペレーションを構築する際には、セル方式とジョブショップ方式の2種類があります。セル方式とは、一人の販売員が、商品を受け取り、袋詰めを行い、お会計を実施し、商品をお渡しするという一連の流れを実施します。

  一方、ジョブショップ方式では、この流れを複数の販売員で分担します。

 

 

 

【レスポンス型接客におけるセル方式とジョブショップ方式のイメージ】

 

出典:著者により作成

 

  レスポンス型接客では、販売員の基本応対のスキルに着目されがちですが、実は、オペレーションをどのように構築するかが、接客の良し悪しに大きく関係します。

 

3.「レスポンス型接客」に求められる販売員の基本応対スキル

 

 レスポンス型接客では、お客様と販売員との接点が短く、瞬間的にお客様に好印象を与えられるか、悪印象を与えないかが大切です。特に笑顔、アイコンタクトなどの基本応対が重要になります。

 

 アメリカの心理学者、A.メラビアンによると、人は矛盾したメッセージを受け取ったと時、言葉の内容(言語情報)よりも、顔の表情や目の動きなど(視覚情報)を最も優先します。例えば、挨拶をしても相手がしかめ面ならば、その相手に対して悪い印象が優先してしまい、逆に、少しぞんざいな言葉遣いでも笑顔ならば、それに対しては良い感情が優先しやすいといえます。

 

 従って、前述のように笑顔やアイコンタクトを意識することが、極めて大切になります。

 

4.今回の要点

  今回の要点をまとめておきます。

 

(1)「レスポンス型接客」はレジの回転スピードが求められる業種・業態で行われやすい。

(2)「レスポンス型接客」では、レジのオペレーションを適切に構築することが重要である。オペレーションには、主にセル方式とジョブショップ方式がある。

(3)「レスポンス型接客」では、視覚情報が大切である。従って、笑顔やアイコンタクトが極めて重要といえる。



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