経営管理指標の設定
企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価していきます。
- 【期間】
- 約6ケ月
- 【対象】
- 経営幹部及び各部門の責任者を中心に、必要に応じて一般社員
内容
従来の財務分析による業績評価に加えて、顧客の視点、業務プロセスの視点成長と学習の視点を加味した評価を行なうことで、 企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価しています。
立派なビジョンや戦略を策定しても、実行されなければ「絵に描いた餅」になってしまいます。ビジョンや戦略を組織の具体的な活動にブレイクダウンするのが経営管理です。経営管理は、「ヒト・モノ・カネ」といった会社経営に必要な資源を適切に配分したり、組織活動が上手くいくようにするための管理手法を言います。
例えば、企業活動では、設備の導入、人の雇用等は不可欠ですが、将来の受注が全く不透明では、投資をすることはできません。
つまり、計画性がない経営をしていては、成長できないばかりか倒産のリスクが高まります。3~5年ほどの中長期計画から年次、月次、日次にまで落とし込んでおくことで、計画的に効率よく「ヒト・モノ・カネ」をマネジメントすることが可能になります。
以前は、経営管理と言えば、財務的なものが中心で、非財務的なものは、体系的に管理されていませんでした。
非財務的なものまで含めて体系的に整理したのが、1992年ハーバードビジネススクールのロバート・S・キャプラン教授とコンサルタント会社社長のデビット・P・ノートン氏により「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌上に新たな業績評価システムとして発表されたバランススコアカード(BSC)です。
バランススコアカードは、企業のもつ重要な要素が企業のビジョン・戦略にどのように影響し、業績に表れているのかを可視化するための業績評価手法です。
従来の財務分析による業績評価(財務の視点)に加えて、顧客の視点(企業からみるお客様、お客様からみえる企業)、業務プロセスの視点(製品のクオリティや業務内容に関する視点)、成長と学習の視点(企業のもつナレッジ〈アイディア、ノウハウ〉や従業員の意識・能力の視点)を加味した評価を行なうことで、 企業のもつ有形資産、無形資産、未来への投資などを含めた今を総合的に評価しています。
経営管理の意義と前提
経営管理の意義は、「社員をはじめとする関係者が策定した戦略と同じベクトルで、一貫のある企業活動を行っていく」ことにあります。経営管理をしていく上では、以下の3つの点が重要です。
1
ビジョン・戦略との一貫性と見直し
企業にはそれぞれ異なったビジョンがあり、そのための戦略も異なります。そのため、当然、経営管理の仕組みも、企業毎に異なったものになるのは当たり前であり、ビジョン・戦略と一貫性があった独自性が高いものであることが重要です。また、変わっていく環境に応じて、戦略が見直されると同様に、経営管理も迅速・柔軟に見直していく必要があります。
2
ベクトルの調整
ビジョン・戦略を実行するのは、社員をはじめとした関係者です。社員をはじめとする関係者が、同じベクトルを向くためのツールとして、業績評価指標(KPI)を設定することが有効です。適切なKPIが設定できれば、細かな管理をしなくても自ら努力することが促進されます。
当然、一部門だけの部分最適ではなく、全体最適を考えて重視する指標を設定することが重要になります。
3
実現可能性
ビジョン・戦略に基づく経営管理は、実現可能性が担保されることが前提です。既存の戦略・ビジネスモデルにおける極端な目標設定は、長時間労働を前提にするといったことになりかねません。誰かの犠牲の上に立つ企業活動は長期的には破綻をもたらすことになります。
経営管理指標設定の進め方 例
1
経営理念・ビジョン・戦略の再確認
経営理念やビジョン・戦略の再確認が前提になります。
なぜなら、経営理念・ビジョン・戦略は、経営管理指標を設定する出発点だからです。
2
経営管理視点の決定
BSCでは、財務・顧客・業務・人財の「4つの視点」が基本になっていますが、必ずしも4つの視点に固執する必要はありません。経営理念・ビジョン・戦略と一貫性があり、かつ、管理すべき意義があれば、(例えば)環境・社会貢献等の視点を盛り込むことが重要です。ビジョン・戦略との一貫性があるのか、他の視点との連動はどうか等を検討して調整していきます。
3
戦略マップの作成
- 財務の視点
- 顧客の視点
- 業務プロセスの視点
- 学習と成長の視点
これらは、学習と成長が高まり、業務プロセスが改善されれば、顧客の視点での成果に繋がり、最終的には、財務的な成功をもたらすものです。
戦略マップは、視点間の因果関係を矢印で結びます。一方、視点間を超えて因果関係が成立する場合も多いので、視覚化には注意が必要になります。
4
重要成功要因の選定
戦略目標を実現するために最も注力すべき項目として、重要成功要因の絞り込みがあります。戦略目標によっては、多数の成功要因が関与する場合もありますが、重要成功要因が多すぎると達成のための活動が散漫になり管理負荷も高くなるため重要度の高いものを2~3個に絞り込むのが望ましいとされています。
5
業績評価指標とターゲットの設定
重要成功要因毎に、測定可能で明確な業績評価指標(KPI)を選定し、同時にウェイト付けします。KPIは、戦略実行のナビゲーションの役割も果たすので、重要成功要因の実現状況を的確に示します。そのために、客観的で作業負荷をかけずに速やかに測定できる指標を選定し、重要成功要因の実現への寄与度に応じてウェイト付けします。さらに、選定した業績評価指標に対して、数値目標と評価方法を設定します。
6
アクション・プランの作成
目標を実現するためのアクション・プランを部門または個人レベルで、具体的に作成します。アクション・プランは、その実行が目標の実現に結びつき、かつ具体的で実現可能であることが前提です。
特長
1
経営管理指標の管理スパーン、濃淡、管理する人を明確にする。
指標によって管理のスパーンや管理の仕方が異なります。
毎年、半年、四半期、毎月、毎週といったように経営管理指標により、適切な管理スパーンを設けることが重要です。さらに、絶えず、社員全員が意識する指標、ウォッチングしていく指標、といったように濃淡をつけなければ、指標ばかりで社員のモチベーションを下げる原因にもなりかねません。
また、経営者、幹部、管理者、監督者、担当者といったように、誰がどのような指標を管理するのかについてもデザインを行うことで、効果的な組織活動を促進する経営管理指標の設定を行います。
2
設定だけでなく、実行についてもフォローして定着化を図る。
BSCが着目された1990年代には、数多くの企業が導入されました。
しかし、現在も継続的に運用されているところは限られています。
実際は、運用が難しかったり、手間がかかるといった要因ですが、イマージョンでは、実行しなければ意味がないと考えていますので、実行についてもフォローし、組織への定着化を図っていきます。
3
経営管理指標の定期的な見直しの実施
経営管理指標は、実際に運用してみると、率で行うより、数で行った方が良かったといった修正が必要になります。
こうした修正を行わないと期待する成果にはつながりません。
定期的な見直しを実施することにより、より実感の持てる経営管理指標へと精度を高めていきます。
期待効果
1.最終的に財務に影響を与えるパフォーマンス評価の指標の体系化
全社経営情報指標の体系的に設計することで、先行指標であるお客様満足度、業務改善、学習といった財務に影響を与える活動が明確になります。
2. 経営理念、ビジョン、戦略、日々の活動の一貫性のあるマネジメントが確立できる
売上や利益の結果のマネジメントは、経営をしていく上で、不可欠です。しかし、結果ばかりのマネジメントを行っていると、経営理念がどのように活動に反映しているのかを実感することはできません。
むしろ、経営理念を反映した中間指標でマネジメントすることで、経営理念からビジョン・戦略の一貫性があるマネジメントが確立されます。
3.何が重要なのかを全社員に意識の共有化が図れる
2.とも関連がありますが、中間指標を設定し、マネジメントしていくことで、企業として何を重要に考えているのかについて意識することになります。
自分だけでなく、組織の構成員が共通のモノサシをもって活動することで意識の共有化が図れます。