BS経営の推進と将来会計の導入
将来の事業展開を行う上での事業毎の投資の見積もり、資金調達、M&A等の意思決定の判断材料になります。
【期間】約6ヶ月
【対象】経営幹部及び財務部門の責任者が中心
内容
イマージョンでは、従来の財務を会計士任せにしないで、しっかりと理解するだけでなく、B/S経営と将来会計の視点で財務を考えていくことを支援していきます。
企業経営にとって数字はとても重要です。なぜなら、経営活動の結果は、最終的には、数字に集約されるからです。
そのため、経営者をはじめとして、経営幹部及び財務担当者の数字力の高低が、そのまま会社の業績に直結します。
B/S経営
財務諸表には、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)があります。
毎期の損益を表すのがP/Lで、決算期末の財政状態を表わすのがB/Sです。
現場も含めて、企業が常に意識している売上と利益は、P/Lに表れます。
それに対しB/Sは、左と右に資産と負債があって、それぞれの残高が出ているだけで、また専門家によっても考え方が異なり、わかりづらい面があります。
しかし、企業経営では、B/Sを意識しなければなりません。特に、P/Lはマネジャー以下に任せて、経営者や経営幹部であればB/Sを中心に見ることが重要です。
P/Lは単年度の損益を計算する表です。損益というのは、あくまで売上や経費を認識した時点で計上されるものです。
これだけでは、P/L上の利益というのは、理論的に計上されているに過ぎません。現実として、資金繰りは大丈夫なのかは基本的にはわかりません。そのため、キャッシュフロー計算書(C/F) が重要になります。
また、単年度では利益も出ているかのしれませんが、借入金が大変多くなり、翌年度からは支払利息が重くなるかもしれませんせん。
つまり、単年度の売上や利益を求めるだけでは、会社は継続・安定して利益を上げ続けていくことができないのがP/L経営の限界です。
B/Sは左(借方)に資産、右(貸方)に負債および純資産があります。
さらに資産・負債は流動、固定などに区分されています。会社を継続してやっていくには、これらB/Sを構成する要素のバランスを見ていく必要があります。
例えば、資金繰りをスムーズに回すには、B/Sのバランスが取れていることが重要です。
過度の投資や借り入れをしないで、適正在庫、自己資本比率を一定以上に保ち、金融機関や取引先といい条件で取引ができる環境をつくることが、長期的に高い利益につながっていきます。
そのためには、将来のめざすべき自社のB/Sを設定することが、遠くを見据えた経営になります。
将来会計
従来の会計は、基本的には「会計は企業活動の結果」として位置づけられていました。つまり、過去会計です。
一方、この過去会計に相対するものとして将来会計という考え方があります。
しかし一般的には、将来会計は、単に
・感覚的に将来の予測財務諸表を設定し、
・それに基づき中長期ビジョンに基づく事業計画を策定し、
・単年度計画に落とし込み、
・その計画を実践して、
・月次で計画と実績の検証を行い、
・計画とのズレがあればその対策を講じて計画を達成していく
といったように、未来に焦点を当てた会計ですが、さらに、その精度を高めていくのが、株式会社イマージョンが目指す、将来会計です。
遠くを図る経営を行うには
1
将来、企業が展開するそれぞれの事業がどの位のキャッシュを生み出すのか(期待値)
2
キャッシュポイントとそのタイミングはいつなのか(時間的価値の見積もり)
3
将来のキャッシュフローの変動の大きさ(リスク)
上記の3点を、完全に予測することはできませんが、将来を予測することは、事業展開の判断で重要になります。
以上の観点から、企業経営として成長していくためには、会社の将来の展望を示さなければなりません。
そして、投資発想を持った上で、関係者の幸せを前提にしながらも、将来生み出すキャッシュフローを生み出し会社の価値を高めることが重要です。
このように、会社の長期目標を立てたなら、それを実現する仕組みが将来会計なのです。
将来会計の意義と前提
必ず、事業にはライフサイクルがあります。
そして、現在、日本の会社が行っている多くの事業は成熟期から衰退・再展開期になっているといっても過言ではないと思います。
しかし、既存事業が衰退していく中で、新事業を立ち上げていくことは重要です。そして、新事業を展開するには、必ず、投資発想が重要です。その際、投資の価値を見込むことが重要なのです。
また、現在、M&Aや事業売却といったことも、経営の重要な意思決定の方法として当たり前になってきています。
さらに、複数の事業を展開する場合は、どの事業にどの位投資すべきかの判断。さらに、どの位、資金調達や融資を受けたらいいのかの判断が重要です。
しかし、まだまだ、今年利益が出たかどうかといったP/L発想で運営する会社や、B/S経営を軸にしながらも投資といった観点が不足している会社が少なくありません。
将来会計策定ステップ
将来会計策定のステップは、未来の予測財務諸表を事業計画に盛り込むことが重要です。
(1)事業投資に関する期待値を設定する
(2)過去に基づき、できるだけ適正な将来の利益やその継続性を検討する。
(3)短期、部分ではなく、長期、大局的に判断する
(4)事業計画による業績予測の検証を行う
(5)リスクの発生確率と大きさを評価して、複数の代替案を考える
以上を前提として、次のようなステップで将来会計を含んだ事業計画を行います。
1
目標の明確化
経営理念に基づいたビジョン・戦略を確認し、どのような商品やサービスをどのような市場に投入して、経営をどのような状況に持っていきたいのかの中期の経営目標を定めます。
そして、中長期(5年~10年事業の性質を考慮する)の具体的な数値計画(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書)を立て、最後に当期の経営目標(1年目の重点テーマ)を定めます(会社が進むべき長期的な方向付けと、短期的に達成すべき目標が明確化)。
※このステップにおいては、従来、定着化している財務諸表(PL,BS,CF)に基づき、EBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization の頭字語、利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益)、NOPAT(Net Operating Profit After Taxes税引後営業利益)の考え方を活用して進めて行きます。
2
目標達成方法の具体化
達成すべき目標が定まったら、その目標を達成するための単年度計画を策定します。
単年度計画では、月別の行動計画や数値目標に落とし込みます。計画は具体的に策定する必要があり、売上については部署別、商品・サービス別、担当者別などというように細分化して計画することが必要です。
3
定期的な進捗管理の実施
単年度計画で定めた月別の計画と実績を毎月比較して計画の達成度を管理します。
計画と実績との間に差異があれば、その差異の原因を分析し、対策を講じます。
特長
1
B/S会計、将来会計がなぜ、重要なのかを分かりやすく説明します
会計に関する考え方が、将来の企業経営を創ることは間違いありません。しかし、なぜ、B/S会計、将来会計が重要なのかといった意味合いを理解していなければ、形を整えても魂が入りません。経営幹部をはじめ、多くの社員が重要性を理解できるような基準を設定していきます。
2
運用しやすいような粒度を設定します
特に、将来会計については、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)的に関して、将来価値を見積もることになります。
しかし、どの程度、細かく設定するかにより、管理にかかるコストと労力は異なります。
大企業のような運営を中小企業が行うと管理過剰になってしまいます。適度な粒度での運用について、事業状況を踏まえた上で検討していきます。
3
企業の本当の価値を意識した経営を行う上での羅針盤づくり
中堅中小企業においては、企業価値を考えることはあまりありません。
しかし、企業価値を考えるということは、事業そのものを考える上で非常に重要です。
今、例え利益が出ていても、将来を保証するものではありません。将来的にどの位、利益を生み出し続けることができるかを意識することにより、現在と将来の事業について考えることになります。
期待効果
1.短期でなく中長期的な視点で経営を行うことができる
毎年の利益に一喜一憂する経営には安定はありません。一方、企業は、ゴーイングコンサーンでなければならないことは言うまでもありません。
B/S会計、将来会計を行うことにより、中長期的な視点からの経営に転換することができます。
2.金融機関をはじめ、利害関係者からの信用が高まる
月次決済を実施している、経営計画を策定しているといったことは、大企業では当たり前ですが、中堅中小企業では必ずしも当たり前ではありません。
月次決算、経営計画だけでなく、B/S会計、将来会計までも意識して行っている企業は、間違いなく利害関係者からの信用が高まります。
3.社員の経営感覚を養う教育につながる
粗利や営業利益は、ビジネスに携わっていれば、必ずといっていいほど身近に感じます。
しかし、B/S会計、将来会計は、個々の取引ではなく、将来を見越した企業全体に関わる会計です。企業全体に関わる数字を社員が意識することは、社員の経営感覚を養う教育になります。