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第4回 接客の類型から考える販売員の能力開発(4)

執筆:岩瀬 敦智(いわせ あつとも) 公開:



 百貨店の販売員が実践する接客には、大きく分けて(1)マーケティング型接客、(2)コミュニケーション型接客、(3)セリング型接客、(4)レスポンス型接客があります。ここまで、マーケティング型接客、コミュニケーション型接客の概要について説明しました。今回は、「セリング型接客」の概要について取り上げます。

 

1.短期集中型の販売員が実施している「セリング型接客」

 

 「マーケティング型接客」は、テナントのトップ販売員が、「コミュニケーション型接」はクレームが少ない販売員が実施しているのに対して、「セリング型接客」は、1週間の限定ショップなど短期集中型の販売員が実施しているテクニックといえます。

 

 マーケティング型接客やコミュニケーション型接客は、どちらも長期的に顧客の信頼を獲得していく接客です。1週間程度の短期集中型ショップでは効果を得ることは難しでしょう。短期集中型ショップの販売員は、その期間での成果を求められるためこれらの接客は採用しづらいというのが現状です。

 

 非常に厳しい世界ですので、成果を挙げられない販売員はお役御免になります。私の百貨店時代の経験でも、成果を出し続ける限られた販売員が期間限定で投入されいました。そのように、結果を出し続けている販売員は、「セリング型接客」を中心に行っています。

 

 

2.顧客の懐に飛び込む「セリング型接客」

 

 一期一会となりやすい「セリング型接客」は、短時間でお客様にインパクトを残す必要があります。そんためには、ファーストコンタクトから早い段階で相手の懐に入れるかどうかがポイントになります。相手との距離感を一気に詰めるイメージです。そのために、セイング型接客が得意な販売員は、様々な手法を講じています。例えば、「個人的な結びつきを深める会話の選定」もその一つです。

 

【個人的結びつきを深める話題と相手との距離を保つ話題 】

出典:『新ハーバード流交渉術』三笠書房を一部修正

 

 セリング型接客が巧な販売員は、意識的にしろ、無意識にしろ、個人的な結びつきを深める話題を自然に出すのが上手という共通点があります。

 

 

3.クレームの危険性

 ご想像のとおり、セリング型接客は、短時間で売上を上げることができる反面、「無理強いされた」「なれなれしい」などのクレームに繋がることがあります。結果的に、その日は売り上げが上がったけれど、お客様の中でブランドの価値が低下してしまう恐れがあります。

 

 SNSの進展などでクチコミが拡がりやすい現状を鑑みると、企業は「セリング型接客」ではなく、「マーケティング型接客」を志向することが得策といえるでしょう。短期集中型の出店を行う際も、販売員の採用システムや評価制度を適したものにすることで、「マーケティング型接客」志向を醸成していくことが肝要です。

 

4.今回の要点

 今回の要点をまとめておきます。

 

(1)「セリング型接客」を実施することで、短期的な売上を得やすい。

(2)「セリング型接客」では、相手との距離を詰めることがポイントである。そのための方法の一つに個人的な結びつきを深める話題を選定する方法がある。

(3)「セリング型接客」は、クレームに繋がる可能性も高まるため、企業価値を低下させる危険がある。企業側としては、できるだけ「マーケティング型接客」を志向することが肝要である。

 

 次回は、4つの接客類型の最後、レスポンス型接客の概要を取り上げます。



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